芸大美術館ミュージアムショップ > 図録 > 図録『ふたつのすまい+α展 藤木忠善退官記念』
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1963年に藤木忠善によって建てられた「サニーボックス」は設計者自身の実験住宅である。それは密室的になりがちな都市住宅をいかに開放するかという提案であり、伝統を生かした融通性のある間取り、戸外の居間としてのテラス、屋上庭園を含む3階建て住宅である。この提案は新しいライフスタイルの可能性を示す住宅として多くの反響を呼んだ。 1996年に建てられた同じ設計者による「マウンテンボックス」は自然の中のリトリートである。「サニーボックス」が若く活動的な家族のためであるとすれば、これは、よりよく齢を重ねるための向齢住宅である。アルプスの山小屋のようなミニマムな空間のなかに、「サニーボックス」と同様な融通性を備えつつ、情報発信と生活に必要な空間が凝縮されている。 藤木忠善が発信する多用な生活を可能にする「ふたつのすまい」の展示が、見る人にとって、自分の家族のための「すまい」になりうる住宅とは、どんな家なのかを考える機会になれば幸いである。(図録より)